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HESOの声(株式会社アイ・オー・データ機器代表取締役会長兼社長 細野昭雄氏 篇)

株式会社アイ・オー・データ機器:代表取締役会長 兼社長細野昭雄氏
聞き手:福田晃(本学附属学校研究推進部会コラボレーション推進室室長)

Project HESOへの参画団体や企業を紹介する「コラボレーターの声」。初回は、当プロジェクトやセミナーで使用する大型ディスプレイなど、主に機材提供という形で参画いただいている株式会社アイ・オー・データ機器。同社代表取締役会長兼社長の細野昭雄氏に金沢大学附属コラボレーション推進室室長・福田晃が話を伺いました。

これからの社会で求められる人材とは

福田:
御社にはProject HESOセミナーで使用する大型のディスプレイや機材などをご提供いただいています。第3回Project HESOセミナー「教育の未来を切り拓く」(広島県教育委員会教育長の平川理恵氏・2023年11月26日開催)では、会場をお借りしました。当日は教育関係者や企業、行政、学生、保護者など約85名が参加し盛況のうちに終了しました。あらためてですが、御社がProject HESOに参画してくださっている理由をお聞かせいただけますか。

細野:
当社が教育機関に機材を提供するようになったのは、政府が掲げたGIGAスクール構想がきっかけです。コロナ禍によって全国の小中学校で1人1台端末が普及しましたね。当社でも、多くの学校現場に、オンライン授業やICTを活用した学習に使用する機器を販売・提供しています。大型のディスプレイは教育現場だけではなく、一般企業でもご利用いただいております。例えばコミュニケーションをより密にするための機能を追加したり、当社でもいろいろな工夫はしていますが、実際に使っている現場の声はどうなのか。より使いやすく有効な商品・サービスにするため、さまざまな意見を求めたい、というところが大きいですね。

福田:
Project HESOでは、学校を拠点にした新たな価値の創造を目指し、新たな時代を切り拓く人材を育てていきたいと取り組んでいます。実際に企業や団体と協働して本気で何かをやっていく中で、子どもたちが新たな力を宿していくのを実感しています。細野会長は、これからの社会で求められる人材について、どうお考えでしょうか。

細野:
企業として望む人材は千差万別ですから、特定のパターンで答えるのは難しいですね。強いていえば、臨機応変さがあり、いろいろな考えができる人材でしょうか。 今は情報社会ですが、頭を使うだけではなく、行動できる、モノづくりができる人材が求められると思います。私は、モノづくりで成功するためには、多くの失敗が必要だと思っています。一流の職人さんも、たくさん失敗を重ねたから、技術のレベルが上がっていく。自分の弱点を俯瞰して見ることができたり、あらゆることを冷静に判断できる力が大切ですし、そういう子どもたちが増えるといいなと思っています。

福田:
おっしゃるとおりですね。頭で考えるだけではなくて、大事なのは、手や足を動かすこと。その中では、失敗もつきもの。挑戦するから失敗があるわけです。その一歩を踏み出すのに抵抗がない、チャレンジできる児童生徒を育てていきたいと思っています。

株式会社アイ・オー・データ機器・代表取締役会長兼社長、細野昭雄氏

レールの上の学びではなく、余白を大事に

細野:
私は、実は学校の授業や勉強は好きではなかったんです(笑)。大人が作ったレールに乗っている感覚に反発心もありました。そのかわり、物事を突き詰めることは好きでしたし、そういう部分を磨いてきたつもりです。

学校教育は、点数をつけて子どもを評価するシステム。テストの点数が良い子が褒められますよね。学力テストの結果が、あたかも世の中に出たときの価値かのように錯覚してしまいますが、社会に出たら、学校での点数はまったく関係がない。レールの上での学びだけではなく、余白こそ大事だと思います。

福田:
まさに、Project HESOで取り組んでいるのは、点数ではかれない、非認知的な部分です。プロジェクトを通して、いわゆる普段の授業やテストからではわからなかった子どもたちのさまざまな力に驚かされることは多々あります。

細野:
やはりそうですか。最近、ニュースでも生成AIが話題ですが、生成AIにテストを回答させたらどうなるのか。これからの時代、生成AIをうまく使いこなせる人材のほうが求められると思います。文科省でも探求的な学びに言及していますよね。学力テストで高得点を獲得することに価値がある、という時代ではなくなっていきますね。

福田:
テストは学習の習熟度をはかる指標にはなりますが、もっと大切な新たな価値がこれからの時代では求められますね。

細野:
教員の方々が、自分たちが教えたことを超える子どもが出てくることに喜びを感じられるようになればいいですよね。例えば、幕末期に吉田松陰が主宰した「松下村塾」は、高杉晋作や伊藤博文など優秀な人材が多く輩出されていますが、固定されたカリキュラムがあったわけではなく、個性を伸ばす教育だったと知られています。塾生たちが、本人の力で羽ばたいていっている。今の教育もそうあって欲しいと思います。

福田:
確かに、松下村塾で、詰め込み教育はしませんよね(笑)。松下村塾が目指した、社会を変革していく人材を育てるという理念は、附属園が目指しているところに通じます。細野会長の視点で、附属園やProject HESOに期待することは何でしょうか。

細野:
Project HESOは、幼稚園から大学まで連携した取り組みですが、私個人の印象としては、小学校までの教育の在り方で、その子のその後への影響度は計り知れないと感じています。その年代で、さまざまな企業や団体とつながりながら、プロジェクトに取り組めるのは大きい。HESOプロジェクトの活動で見えてきたことを、地元の石川県だけではなく、日本全体の教育の仕組みに影響を与えられたらいいですよね。そういう意味でも、この取り組みには期待しています。

福田:
現在は、附属5校園の中での取り組みですが、学校と社会の垣根をなくしエコシステムとして取り組んでいける仕組みを考えていきたいと思っています。Project HESOを通じて社会に誇れるストーリーを作っていきたいですし、子どもたちがそのストーリーの担い手になるところを目指しています。そういう意味でも、Project HESOの意義はあらためて大きいと感じています。今後も、ご尽力いただく際には甘えることになると思いますが、引き続きどうぞ宜しくお願いします。本日はありがとうございました。

(対談:2023年6月27日 株式会社アイ・オー・データ機器にて)

株式会社アイ・オー・データ機器よりご提供いただき、
Project HESOセミナーで使用している主要な機材は以下のとおりです。

株式会社アイ・オー・データ機器設立1976年1月10日、石川県金沢市桜田町三丁目10番地)
石川県金沢市に本社を置く精密機器メーカー。
主にコンピュータの周辺機器を製造・販売する。1976年創業。
コーポレートメッセージは「進化する明日へ Continue thinking」。
ホームページはこちら

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