プロジェクトのはじまり
令和6年度の6年生の総合的な学習の時間のテーマは「商店街」。市内の各地に商店街がある中、「尾張町商店街」に着目し、学習を進めることになりました。
尾張町商店街は、観光地である近江町市場と主計町茶屋街・ひがし茶屋街の間に位置する尾張町にあり、橋場町から武蔵につながる道沿いに多くの店舗が軒を連ねる商店街です。
児童たちはまず、実際に尾張町商店街に足を運び、どんなお店があるのか、雰囲気はどうなのか、またどのような人たちが働いているのかなどについて調べました。
尾張町は金沢城下町のうちの本町の一つで、前田利家の金沢入城の際、尾張荒子(前田利家生誕の地・現在の名古屋市中川区)より呼び寄せた御用商人の居住地だったため、現在の名称になったといわれているそうです。江戸期には、米仲買商を中心に各種の店舗が多数並び、金沢経済の中心地だったといいます。
現在、創業100年を超える老舗など伝統的な造りの建物がそのまま使われているお店や、町家を改修した町家カフェやバー、居酒屋などオープンして間もないお店もあります。観光客や一般的なお客さん相手の店舗よりも、企業との取引を主とするお店や会社も多いことから、観光客にとっては「通り道」となっている現状があるといいます。
数回の見学を通して、児童たちからは「尾張町商店街には長い歴史がある」「新しいおしゃれな飲食店も増えている」といった尾張町商店街の魅力に気づく声が出ました。
児童たちは商店街の個別のお店にも複数回足を運び、そこで働く人たちにインタビュー。実際に話を聞く中で、商店街で働く当事者たちが尾張町商店街の魅力、良さに気づいていないという課題が見つかりました。
そこで1組は「尾張町商店街の良さを地元の人に知ってもらいたい」をテーマに、それをどう伝えるか、考えることになりました。商店街の人たちに向けたアクションによって、当人たちが気づいていない商店街の良さを感じてもらおうと、学習を進めています。
2組と3組は、商店街の賑わいのために自分たちが参画できることはないかと考え、ある児童が見つけた「尾張町あんやとまつり」に着目。金沢大学「Project: AERU」(学生や地域の「出会いと学び」の機会を創出することを目的としたプロジェクト)と連携し、「尾張町あんやとまつり」に参画することになりました。
2024年に8月24日に開催された「尾張町あんやとまつり」では、スペシャル企画として「尾張の輪投げ あんやと射的」を企画・運営し、「尾張町あんやとまつり」の盛り上げに一役買いました。
その後のヒアリングを通し、「尾張町あんやとまつり」を通して商店街に一時的な賑わいは生まれたものの、平常に戻ると多くの店舗は賑わいに変化がないことがわかりました。
これにより、一時的な賑わいではなく、日常的な賑わい創出、商店街の活性化に向けて、何ができるかを考え、学習を進めています。また、本プロジェクトは、金沢大学Project:AERU(※)とも連携しており、多様なメンバーとともに展開しています。
※金沢大学「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+事業)」の後継事業として、学生同士、学生と地域の「出会いと学び」の機会を創出することを目的に、2021年4月にスタートしたプロジェクトです。