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コロナ禍でも絆を深めることができる新たな国際交流の在り方とは

#小学校 #3年生#4年生

コロナ禍でも絆を深めることができる 新たな国際交流の在り方とは

コロナ禍の2021年、金大附属小学校の3年生~4年生の児童は、総合的な学習のテーマに自分たちの生活を一変させたコロナウイルスがもたらすさまざまな影響を取り上げました。
コロナを言い訳にしない新しい国際交流のカタチとは? — 子どもたちの取り組みは、やがて多くの人々や世界的なゲームメーカーの共感を得ることになり、これまでにない国際交流へと広がっていきました。

HESOコミュニティモデル

プロジェクトのはじまり

東京オリンピック・パラリンピックが プロジェクトの舞台

2019年に発生し、翌年には世界中を震撼させた新型コロナウイルス感染症の拡大。コロナ禍の2021年6月、金大附属小学校の3年生と4年生の児童は、総合的な学習の時間に「コロナウイルスがもたらすさまざまな影響」について話し合いました。前年開催予定だった東京オリンピックが史上初の1年延期になったこともあり、スポーツにおいてもどのような影響があるのかを知りたいという意見があり、後日金沢市のオリンピック関連推進事業室(以下、推進事業室)の方をコラボレーターとして学校に招き、現状を聞くことになりました。

そのころ、延期後の開催となった東京オリンピック・パラリンピックを控え、金沢市は姉妹都市があるフランスとロシアに対してホストタウンとなるべく名乗りをあげていました。その結果、フランスの水泳とウエイトリフティング、パラリンピック水泳、ロシアの飛込みの代表選手団が金沢で事前合宿を行う予定でした。子どもたちは推進事業室の篠田さんから、来日した選手は感染拡大防止の観点から、金沢滞在中は空港とホテル、練習場のみという厳しい行動制限があることを聞きます。さらに講演の最後に「みんなも小学生の立場で何かできることを考えてほしい」という呼びかけがありました。

子どもたちの活動と想い

直接会えなくても 金沢を感じてもらいたい

子どもたちからは、「直接会えなくてもアスリートを応援したい」「選手に金沢に来ることを楽しみにしてほしい」という声が聞かれ、その気持ちを伝えるにはどうしたらよいかを議論した結果、応援の意味も込めて日本らしいもの=「うちわ」を選手にプレゼントしてはどうかという意見が出され、クラス内の同意が得られました。

コラボレーション推進室がある金沢未来のまち創造館(石川県金沢市野町)で開催されたフランス選手とのゲーム大会

前年に別のテーマ「空き家を活用した伝統工芸体験」で児童らに和紙「金沢からかみ」の技術を伝授した表具職人の方々の指導でうちわを作成することも決まりました。以降は学校、推進事業室、金沢からかみ研究会の3者が協働で、プロジェクトに取り組むことに。うちわの制作は、そのころ総合学習の題材としていた近江町市場の学習と結びつける形で進められ、表面に生徒たちが考えた近江町市場のデザイン、裏面には職人さんが考案した金沢の観光名所の細工が施されることに。担当の教師は「授業展開を教師が決めていきがちですが、それは極力避け、子どもたちと相談するようにしました」「前年の総合的な学習の題材を次の年度に継続して行うことはこれまでしてきませんでした。ですが、今年度の取り組みを通じて、場合によっては重複させていくことの可能性も感じました」と当時を振り返ります。

うちわづくりは分担制のため、自分の作業までどうしても手持ち無沙汰になってしまう児童がいます。教師が「その時間を何につかいたいか」を児童に尋ねたところ、「ただうちわをつくって送るだけで終わりたくない。待ち時間を利用してムービーをつくりたい」という提案があり、満場一致で賛成となったことから、手の空いている子どもたちが撮影を担当し、翻訳アプリを用いてテロップを入れた動画が完成しました。細かい作業に悪戦苦闘しながらも完成したうちわは、動画とともにフランスとロシアの代表選手団に贈られ、後日感謝を伝えるビデオメッセージが届けられました。

コラボレーターとして重要な役割を担った推進事業室の篠田さんは「あきらめずに練習するアスリートの姿やオンライン交流を進めていることを話したところ、自分たちも協力したい、応援したいというポジティブな言葉をもらい、予定していた事業が軒並み変更を余儀なくされるなか、自分たちも背中を押された感覚になったのを覚えています」と言います。一連の取り組みは、児童たちに大きな成長をもたらしただけでなく、メディアにも取り上げられたことで、市民へのホストタウン事業への周知にも役立ちました。

生徒たちの活動を伝える地元の新聞記事。「北陸中日新聞 2020年7月21日」

課題と解決への道

世界的な企業セガの 協力をつかみとる

オリンピック・パラリンピック終了後、コロナ禍のなかでベストを尽くした選手たちに対し、児童に「もっと仲良くなりたい」という希望が生まれました。その方法としてあげられたのが「一緒に泳ぐことはできないが、ゲームのプールなら一緒に泳ぐことができるのでは」というアイディアで、児童たちはさっそく実現への道を探し始めます。 一緒に楽しめるゲームとして選んだのは、任天堂株式会社と株式会社セガ(以下、セガ)が共同開発し、セガがWebサイトを運営する東京オリンピック公式ゲーム「マリオ&ソニック AT 東京オリンピック」に決定。ここまでは順調に話が進みました。しかしこの後、児童たちは現実の大きな壁にぶつかることになります。

それが、

・ゲーム機10台とソフト22本はどうやって確保すればいい?
・時差があるので、授業中の開催は無理。どこで実行する?

という2つの問題でした。

一度は児童の間にあきらめムードも漂いましたが、セガに協力を仰いだことで突破への道が開けます。趣旨を理解いただいたセガからソフト17本とオンライン接続アドバイスを得ることができ、いよいよ開催が現実のものに。感染対策として、自宅での参加組とコラボレーション推進室がある金沢未来のまち創造館(石川県金沢市野町)に分かれて参加するハイブリット型の参加方法も決まり、2022年2月25日のアフター交流会に向けて準備が進められていきました。

話し合いの結果、一緒に何かする、選手のことを知る、フランス文化を知る、日本文化を知ってもらうという4つの目標が出てきた

プロジェクトを通して得られた成果

当日は、オンラインでフランスの選手たちとつながりながら対戦。言葉の壁、国の壁、時差の壁を乗り越え、全国初の児童によるアフター交流会は成功裏に幕を閉じました。 当日を振り返った児童の感想は

オンラインで選手たちの元気な姿が見れてよかったし、全員で総合の時間を使ってうまくいく方法を考え、無事みんなオンラインゲームに参加できたのでよかったです。これまでたくさんの時間を使って、蔓延防止がのびたらどうするか、残りのSwithをどうやってゲットしたり借りたりするのかを苦労したけど、実現できてよかったと今思いました。

というもので、開催を成し遂げた体験は、生徒一人ひとりにとって次の探究心につながる大きな自信となりました。

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