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「もっと愛されるまちへ」を目指して学習を進めました。

1組の子どもたちが尾張町商店街の学びを始めたきっかけは、「このまちに関わる人たち自身が、もっと商店街のことを好きになってほしい」という思いでした。観光客だけでなく、そこに暮らす人々や日々お店を営む人たちにも、尾張町をもっと身近に感じてほしい。そんな願いを胸に、1年間の学びがスタートしました。

3学期のはじめ、これまでの活動を振り返る時間が設けられました。そこで子どもたちは改めて自分たちのビジョンを確かめ、「もっと地元の人に愛される商店街になるにはどうすればいいか」という問いに立ち返ります。その結果、子どもたちの中から出てきたのが、「尾張町のなかに、地域の人が気軽に立ち寄れる“拠点”をつくろう」というアイデアでした。

この考えを、商店街の村松さんに伝えると、「拠点にふさわしいものを提案してくれれば、コンペ形式で採用を決めよう」と返答がありました。自分たちのアイデアが本当にまちで実現するかもしれない──そんな期待が、子どもたちのやる気をさらに大きくふくらませていきました。

1月には、計画の実現に向けて、検証インタビューと現地調査を行うために、再び尾張町へ。子どもたちは、まちの人たちから話を聞き、さらに「老舗交流館」の見学にも出かけました。商店街の中心に位置するこの場所を活用することで、さまざまな可能性が見えてきました。

その後の授業では、班ごとにアイデアを出し合いました。「商店街の歴史を学びながら遊べるすごろく」「世代を超えた人たちが一緒に楽しめるカルタ体験」「お店の人と来訪者が交流できるゲーム大会」など、子どもたちならではのユニークな企画が次々と生まれました。

こうしたアイデアの一部は、金沢大学のProject:AERUとの連携の中で、大学生の手によって実際に形にされることになりました。子どもたちの声が、大学生の行動につながり、まちに新しい風を吹き込んでいく。そんな実感が、彼らの取り組みに対する誇りと手応えを深めていきました。

時間が経つにつれ、尾張町商店街に対する子どもたちの思いは、単なる“授業”の域を越えていきます。休み時間にも総合の話題を持ち出し、自発的に話し合いを進めたり、友だちの班を手伝ったりする姿が日常的に見られるようになりました。ときには放課後に残って、資料をまとめたり、プレゼンの準備をしたりする子もいました。

その原動力となっていたのは、「自分たちの学びが、社会の役に立っている」という実感でした。ただ与えられた課題に取り組むのではなく、自ら問いを立て、まちの人の声を聞き、実際の社会につながるかたちでアイデアを磨いていく。その経験は、教室の外に広がるリアルな世界と、自分たちの学びがつながっていることを子どもたちに教えてくれたのです。

尾張町商店街の人たちにもっとこのまちを好きになってもらいたい──その思いから始まった1組の挑戦は、やがてまちに新しい“拠点”を生み出し、人と人とをつなぐ場へとつながっていきました。

この取り組みを通して得たまなざしや行動力は、これから先も子どもたちの中に息づいていくことでしょう。まちとともに学び、まちの未来を思い描いた時間は、きっと彼らの心に深く刻まれたように思います。

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