尾張町商店街の学習を通して、3組の子どもたちは「どうすれば、訪れた人がまた尾張町商店街に来たくなるだろう?」という問いに向き合ってきました。見学やインタビューを重ねるなかで感じたのは、観光地に挟まれながらも独自の魅力をもつ尾張町商店街が、通り過ぎられてしまう現状へのもどかしさでした。
そこで子どもたちは、自分たちにできることとして「尾張町に来た人が、もっとこのまちを好きになれるようなものをつくろう」と考えました。まずは自分たちのアイデアを、尾張町商店街の村松さんに直接伝える場をもちました。話し合いの結果、“お土産”のように持ち帰ることができて、なおかつ尾張町らしさを感じられるオリジナルグッズの作成が決まりました。
クラスでの話し合いでは、グッズとして「ハンカチ」をつくる案が採用されました。「日常の中で使えるものにすれば、尾張町のことを思い出してもらえるかもしれない」という子どもたちの思いが込められています。
その後、デザインの検討が始まりました。尾張町の特徴や、自分たちが見つけた“好きな風景”をもとに、さまざまな図案が提案され、どれも個性の光るものばかりでした。
印刷には、エプソン販売株式会社のご協力をいただきました。捺染プリンターをお貸しいただき、子どもたちは一人ひとり、自分の手で丁寧にハンカチを仕上げていきました。印刷の工程そのものが、子どもたちにとってものづくりの学びとなりました。

完成したハンカチは村松さんにお渡しし、実際に商店街で配布されることが決まりました。自分たちの思いが形となり、地域の人や訪れる人に届く──その実感に、子どもたちは大きな満足感を得ていました。
「どうしたら、もっとこの場所を好きになってもらえるだろう?」という問いに、まっすぐに向き合った子どもたちの姿勢は、地域と人とを結ぶ小さな一歩になったと言えるでしょう。今回の取り組みを通じて、尾張町商店街の魅力を改めて見つめ直すとともに、自ら考え、行動することの大切さを実感する、貴重な学びの時間となりました。